私の場合、ミックスボイスによって以前よりも5音半ほど高い声が出せるようになりました。そもそも、より高い声を出したい思ってミックスボイスを身につけたわけですから、それはそれで願ったり叶ったりなんです。
そんな中、ふと思い立って自分の音域をいろいろ計測してみると、以前は最低音が(low F/ F2)だったはずなのに、(low C#/ C2)まで出るようになっているのに気づきました。最初は正直、驚いたんですが、何度も低音を発声して確認してみると、これはどうやらボーカルフライが影響してしているようなんですね。それまでには無かったはずのボーカルフライの独特な響きを感じました。
トレーニング中、特に声を低くしようと努力していたわけでもなかったので、この結果は意外でした。もしかすると、ミックスボイスをマスターすれば高音だけでなく、低音も若干、このボーカルフライの効果で音域が広がるかもしれませんね。
もっとも、まれに元から意識せずに低音でボーカルフライを出している渋い声の人がいますが、多分、そうした人にはこういった効果は見られないと思います。
こんなふうに、ミックスボイスを身につけると単に高音を出せるようになるだけでなく、予期せぬ副産物が手に入ったりもします。この他にも、例えば、今のようにさらに低くなった低音にボーカルフライをふんだんに入れ込むことで、渋い艶のあるダンディー風の声をつくることができたり、ミックスボイスの特徴である高音の響きを応用して女声を出したり、または人気キャラクターのモノマネができるようになったりもします。
自分の声のバリエーションがものすごく広がるんですね。歌に限らず様々な場面でエンターテイメントの可能性を引き出してくれるんです。歌手はともかく、俳優でも声優でも芸人、司会者、ナレーターなど、将来、声を使った仕事に就きたいと考えている人は、ミックスボイスを身につければ、きっと強力な武器になると思いますよ。