5.ミックスボイスのための準備

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ミックスボイスを出すための準備として、以下の3つポイントをおさえておきましょう。

■自分の地声の最高音と換声点を確認しよう
■安定した裏声(ヘッドボイス)を出せるようにしておこう
■ボーカルフライ(Vocal Fry)を身につけよう

まずは、自分の地声の限界を知る必要があります。スマホのアプリでもチューナーでもお好みの方法で調べてみましょう。ここで注意したいのは、確認するのはあくまで音楽的限界音域つまり、歌声として使える声のこと。絶叫してやっとこさ出るような、かすれたり息漏れした声ではなく、安定したロングトーンの出せるギリギリの地声です。

最高音とは安定した地声が出せる限界の高さ。換声点は、もともとは地声と裏声の切り替わるポイント(地声と裏声の境目)のこと指しますが、この講座では、「どうしても裏声になってしまう高さ」としての意味合いの方が強いです。そのため、最高音と換声点の位置関係についても、本来的にはほとんど同じ場所(換声点のほうが最高音よりも若干高い)に位置するはずですが、この講座では意図的に半音の差を設けて「最高音」と「換声点」の区別をしています。

次に、「安定した裏声を出せるように」というのは、ファルセット(息漏れのある裏声)ではなく、ヘッドボイス(息漏れのないはっきりしたの裏声)のことです。ヘッドボイスのトレーニング方法としては、いろいろありますが、私としては手頃な(そんなに高音過ぎない)女性ボーカルの曲を裏声だけで歌い込むというのが、一番手っ取り早い方法かなと思っています。できているかどうかの目安としては、「もののけ姫のテーマソング」が歌えるか。そう、あの米良さんのヤツですね。この曲の最高音は(hi D#/ D#5)ですから、裏声で歌う分にはそれほど難しくは無いと思います。最初からこの曲を米良さんのマネをしながら歌うっていうのもいい方法かもしれませんね。声の高さよりも、ロングトーン(安定した声の伸び)に重点を置いて練習してください。多少のかすれは気にしなくて大丈夫です。この曲が裏声(ヘッドボイス)で無理なく歌えるようになっていれば、合格と言っていいでしょう。
もちろん、「雪だるまつくろう」でもいいですよ。

最後に、ボーカルフライ(Vocal Fry) これは、動画で見てもわかるように、ア゛ア゛ア゛…というプツプツというかザラザラしたような音です。エッジボイスとも言います。言葉で説明すれば、「閉鎖した声帯の隙間から少しずつ途切れ途切れに息を漏らす感じ」になると思います。まぁ、Fryというくらいですから、おそらく、あげ物を揚げている時のあの油のプツプツ感が由来になっているのでしょう。あれこれ理屈を考えるよりも、聞こえたままの音を再現するような感覚でトレーニングしていきましょう。このボーカルフライ、印象からすると、なんとも汚らしい不快な音ではありますが、実はコレこそが前述したミックスボイスの「必要不可欠な要素」、まさにカギなんです。極端な話をすると、多少、裏声が不安定であっても高音域でしっかりとこのボーカルフライを入れ込むことができれば、ミックスボイスは出せます。逆に、どんなに裏声を高音かつ綺麗に発声できたとしても、ボーカルフライが使えなければ絶対にミックスボイスを出すことはできません。それほど重要なんです、このボーカルフライというヤツは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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