肺活量を鍛える!

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「歌を唄う上で肺活量は関係ない!」

こんなコメントをたまに耳にします。まぁ、確かに当たっているといえば当たっていますし、間違っているといえば間違っています。結局のところ、歌を唄う人自身がどんな歌をうたって、どんなパフォーマンスをしたいかということがすべてなんですね。

おとなしいフォークソングやしっとり系のバラードばかりを唄うのであれば、別に人並み外れた肺活量は必要ありませんし、原曲が激しいロックであったとしても自分の持ち合わせの肺活量に応じた唄い方にアレンジすればいいだけの話です。自分が好きな歌を好きなように唄って、他人からとやかく言われる筋合いはないですからね。

そうした意味では歌に肺活量は関係ないといえるでしょう。肺活量を鍛えたからと言って、今までの音程やリズムが改善されるということもないですから、それだけで歌が劇的に上手くなるなんてことはまずありません。

「でもね。やっぱり歌を唄うなら、いろんな歌をいろんな唄い方で唄いたいんですよ…私は!」

つまりは、コレなんです。結局、唄うあなた自身がどう思うかなんです。少なくとも私は、優しい歌は優しく口ずさみ、激しい歌は感情を込めて激しく唄いたいんですね。それだけに、優しい歌はともかくとして、激しい歌を唄っているときには気付いてしまうわけです。自分の声量の足りなさに。思ったように声が出ていないのが自分で分かるんですね。「コレジャナイ!」っていう物足りなさを感じるんです。じゃぁ、どうしようかということで、まずは「肺活量を鍛えよう!」となるんです。他に声量を上げる手段を知らないので…。

結論から言うと、肺活量が増えれば声量は確実に上がります。ロングトーンもそれ以前に比べれば断然安定します。私はそう実感できました。また、数曲唄ったあとの息のあがりもかなり改善されました。私にとっては、肺活量を鍛えたことで得られた利益は計り知れませんし、逆に、損をしたことは何ひとつありませんから、肺活量をアップさせるトレーニングをしない理由というのが今ひとつ理解できません。

ただ、ここで誤解してほしくないのは、それなら肺活量を増やせば増やすほど声量も際限なく増えるのかと言ったら決してそういうことではないんです。声というのは単に肺だけで出しているわけではなく、声帯や喉、舌、鼻などさまざまな器官と絡み合って作られています。

仮に、肺活量を8000ccまで鍛え上げたとしても、その排気量に声帯が耐えられずに声が割れてしまったり、変に鼻にかかってしまったりと必ずしも同じ声質のまま発声できるとは限らないわけです。とてつもなく大きな声は出せるようになったけれども、何を言っているのか分からないのでは歌声としてはまったく意味がありません。何にでも限度というものがありますから、ただ、やみくもに鍛えればいいというものではないんですね。(ちなみに、一般の成人男性の肺活量はおよそ3000~4000ccといわれています)

おそらく、性別や体の大きさ、いま言ったような身体的性能を含めて、人にはそれぞれ自分の声を最も活かせる肺活量というものがあると思います。バッチリ感情を込められて、最高に気持ちよく唄える最適な肺活量が。人によっては、それが4000ccかもしれませんし、場合によっては8000ccかもしれません。でも、自分は現在3000ccほどしかなくて思ったように声が出ていないように感じるので、「それじゃぁ鍛えて自分の最適な肺活量を目指そう!」という発想につながるんです。

ですので、あなたが現在、自分の声量に満足しているなら改めて肺活量を鍛える必要はありませんし、物足りなさを感じているならば鍛えてみてはどうですか。と、ただこれだけの話なんですね。

「歌に肺活量が関係あるか否か?」は自分が決めればいいんです。

ただ、私自身の経験上、ミックスボイスを出せるようになると、声帯はかなり高音まで耐えられるようになるはずですから、ミックスボイスの魅力を最大限に引き出すためには、やはり肺活量はできるだけ鍛えておいたほうがいいとは思っています。

…というわけで、そんな私が肺活量アップと維持のために行っているトレーニング方法をご紹介しましょう。それほど真新しいことでもないので参考になるかどうかは分かりませんが…。

私が肺活量を鍛えるために行っているのは主にジョギングですが、それと併せてやっているのがコレ。パワーブリーズ!とあるサイトで紹介されているのを見かけたのがきっかけでした。本当かどうか分かりませんが、あのB’zの稲葉さんも使用しているという触れ込みがありまして、さらにレビューの評判もよかったのでついつい衝動買いしてしまいました。

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このパワーブリーズ、身体レベルに合わせて3種類あります。私が選んだのは「スポーツタイプ」といって最も重負荷のものです。

使い方はとても簡単。まずは、本体の底についているダイヤルを回して負荷を調節します。負荷レベルは10まであって0から徐々に負荷を上げていきます。とりあえず、様子見ということで、2あたりからやってみました。

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ダイヤルを回して目盛りを2に合わせたら、あとはマウスピースをくわえて…思いっきり吸う×30回!たったコレだけです。「空気を吸いこむ力」を鍛える器具だったんですね。

で、はじめて使った感想は…

「…は?楽勝なんだが…やってしまったかな? コレ、結構高かったのになぁ…」

購入したことに対して湧き起こる後悔の念を押し殺しつつ、今度は目盛りを3にしてやってみることにしました。同じように操作して、30回…

「できる!!…けど、キツい!!」

はじめの20回はわりと難なくできましたが、最後の10回がしんどかったですね。それじゃ、次はレベル4で…

「!!!」 ビクともしない…まったく…。

じつを言うと、私はこのパワーブリーズを購入する2ヶ月ほど前に人間ドックをやっていました。そのときの肺活量は4900ccで一般成人男性の平均よりもやや高めの数値でだったんです。そんな私でもレベル4ではまったく歯が立たなかった…。これは…完全にナメていました。

とは言っても、その時はまだ、本当に肺活量アップに効果があるかどうか半信半疑でしたが。ただただ、そんなことよりも金額的にだいぶ値が張りましたからね…ここでそう安々と引き下がるわけにもいかず、とりあえず1か月は続けることにしました。

で、1か月経過して…

「とてもいい感じですね。これまでより、ずっと深く息を吸い込むことができるようになりました。私は普段、およそ週2,3回のペースで8kmほどのジョギングをしていますが、これのおかげで呼吸がかなり楽になったと感じます。走り終えたときの呼吸の乱れも少なくなりました」
…なんて、テレビの通販番組みたいなコメントになってしまいましたが、本当にお世辞抜きで呼吸はだいぶ楽になりました。

それで…1か月間やってみて、レベルはどこまでいったかというと…

…じつは、まだレベル4がやっとできる程度です。と言いますか、レベル10攻略は絶対にムリでしょうね…私には。将来的に自分がこれのレベル10をガシガシ吸っている姿をまったくイメージできないんです。それくらヤバイんです。ヤバイなんてもんじゃない!ヒドイんです!レベル6でさえ鼻の奥がギュルギュルと空回りをするような感じで、空気のくの字も入ってこないんですね。

正直、レベル10は人間にはできないようになってますね。多分、ここのメーカーは人をおちょくっているんだと思います。YouTubeで検索してもレベル10ができる人はヒットしませんでした。

ちなみに、ネット上の噂ではB’zの稲葉さんは肺活量が8000ccあるそうです。そんな稲葉さんならレベル10ができるんでしょうかね?できるとしたら完全に化物です。そこまでいくと、よもやマネしたいとさえ思いませんけど…。

私の場合、元々ジョギングをはじめる前の肺活量は4300cc程度でしたから、ジョギングだけでも肺活量をアップさせるには十分な効果がありました。ただ、今回は器具を使って呼吸をするだけ…ということで、「たったそれだけで肺活量が増えるなら、こんな楽なことはないな」なんて軽い気持ちで手を出してみました。
もっとも、パワーブリーズを使用している期間もいつも通りジョギングは続けていましたから、正確にはパワーブリーズで呼吸する「だけ」ではありませんでしたけどね。それでも相当の相乗効果はあったと思います。

私としては、当面はレベル4を維持できるように頑張るつもりです。今のままでも、呼吸が改善されて声量も上がったことを実感できているのでかなり満足していますし、別にレベル10を攻略することが目的でもありませんから。

もし仮に、本気でこれを攻略しようとすると、おそらく、そのためのトレーニングに専念しなくてはならないでしょう。それもトップアスリート並みの。どう考えても、雰囲気的に1年や2年では済みそうにないんですよね。それをしたとしてもムリっぽいですし…。さすがにそんな暇も気力もありませんよ…私には…。決して負け惜しみで言っているわけではなく…。

ただ、次回の人間ドックで、今回のトレーニングの成果として肺活量がどれくらい増えたのかは知りたいですね。感覚としては確実に5500ccは超えてると思いますよ。結果が出たらまた報告したいと思います。まぁ結果がどうなるにせよ、今の私にはこの肺活量で十分だと言い切れます!自分のイメージどおりの声が出せていますから。むしろ、私の発声の仕方ではこれ以上、増やしてもあまり意味がないと思っています。ですから、あとはこの肺活量を落とさないように気をつけるだけです。

…ともあれ、このパワーブリーズ。製品としてはかなり高い買い物ではありましたが、それ相応の効果は実感できましたので結構満足はしています。

でも、初心者ならわざわざ低負荷の商品を買わなくてもペットボトルで十分に代用できると思いますね。吸う力を鍛えるために「空のペットボトルを吸って潰すトレーニング」なんかがよく紹介されていますが、まずはアレをやってみてください。

2リットルのペットボトルが一瞬でぺしゃんこになってしまってまったく物足りないという人なら、試しに購入してみてもいいかもしれませんね。すでに4000cc以上はあるでしょうから。まだ、そこまではいかないという人はペットボトルで鍛えましょう。パワーブリーズもペットボトルも理屈はまったく同じことですので、それでも十分に効果は出るはずです。だた、ペットボトルはかなりの騒音を撒き散らすことになりますので、場所と時間には注意しましょう。

結論:「肺活量は増えたほうがいいが、むやみやたらに増やせばいいものでもない!さもないと、本題を見失うことになりますぞ」